「彼は早稲田で死んだ」感想
樋田毅著「彼は早稲田で死んだ」(文藝春秋社)を読んだ。1972年、早稲田大学構内で、中核派スパイの疑いをかけられた川口大三郎君が核マル派(革命的マルクス主義派)によって虐殺された。その後の核マル派追求運動の中心人物になった樋田氏(のちに朝日新聞記者として活躍)が、そのリンチ殺人事件の状況をまとめたものだ。...
View Articleオペラ映像「ザザ」「レオノール」「ドン・ジョヴァンニ」
バタバタしていて音楽を聴く余裕がなく、コンサートも3回ほどパスした。やっと数日前から落ち着いてきた。この間に観たオペラ映像について感想を書く。 レオンカヴァッロ 「ザザ」 2020年9月 アン・デア・ウィーン劇場...
View Articleアンサンブルofトウキョウのブラームスを堪能
2022年2月15日、東京文化会館小ホールでアンサンブルofトウキョウの「分かち合う悲しみの調べ。 そして、訪れる美しき世界」と題された定期演奏会を聴いた。曲目は、前半にボッケリーニの弦楽五重奏曲ニ長調Op.39-3...
View Article清水和音&カルテット・アマービレのドヴォルザークにうっとり
2022年2月16日、東京芸術劇場でブランチコンサートを聴いた。曲目は、カルテット・アマービレにヴィオラの佐々木亮が加わってのモーツァルトの弦楽五重奏曲第6番変ホ長調 K.614と清水和音がくわわってのドヴォルザークのピアノ五重奏曲 第2番イ長調。素晴らしい演奏だった。...
View Article小泉&新日フィルのフランク 堅実であるがゆえに燃え上がる情熱
2022年2月19日、トリフォニーホールで新日本フィルハーモニー交響楽団演奏会を聴いた。指揮は小泉和裕、曲目は前半にシューマンの交響曲第1番「春」、後半にフランクの交響曲ニ短調。...
View Articleロシアによるウクライナ侵攻に思う
ロシアがウクライナに侵攻したという。ロシア軍がキエフの軍事施設を爆撃したという。帝国主義時代ならともかく、現代においてこのような行動に出るなど、暴挙も甚だしい。欧米はロシアに対して徹底した経済制裁をすることを言明しているという。ウクライナのゼレンスキー大統領は市民に徹底抗戦を呼びかけたという。 専門家ではない私にはこれから先どうなるのか、見当もつかない。...
View Article「ドライブ・マイ・カー」 本当に深く考えさせられる映画
アカデミー作品賞にノミネートされたということで話題になっている濱口竜介監督の映画「ドライブ・マイ・カー」をみた。現在、コロナ禍でもあり、我が家の事情もあって、なかなか外に出にくい状況で、コンサートもいくつかパスしている。そこで、インターナショナル版のDVDを購入したのだった。家庭の用があって、途中2度ほど中断したが、退屈することなく、おもしろく観た。評価の高さに納得できるとても良い映画だと思った。...
View Article映画「金の糸」 金の糸はきっと「許し」なのだろう
ジョージア映画「金の糸」をみた。家庭の用で水天宮駅付近に宿泊中、空いた時間に岩波ホールで「金の糸」をみられることに気づいて、慌ててみに行った。2019年にはジョージア旅行をした。ジョージアは大好きな国だ。岩波ホールの映画祭のおかげでジョージア映画はかなりみている。しかも、岩波ホールは近日中に閉鎖になる。これはみないわけにはいかない。監督は、91歳の女性監督ラナ・ゴゴベリゼ。...
View Article島方瞭のイザイの「バラード」は圧巻だった
2022年3月12日、浜離宮朝日ホールで、「反田恭平プロデュース JNO Presents リサイタルシリーズ ヴァイオリン 島方瞭の世界」を聴いた。演奏は、島方瞭(ヴァイオリン)と三又瑛子(ピアノ)。実はこの二人の演奏家についてはまったく知らなかった。反田恭平プロデュースに惹かれてチケットを購入。...
View Articleブラームス室内楽マラソン 堪能した!
2022年3月13日、「芸術監督・諏訪内晶子による国際音楽祭NIPPON2022 ブラームス室内楽マラソンコンサート」を聴いた。堪能した。素晴らしかった。...
View Article賈樟柯(ジャ・ジャンクー)の映画「長江哀歌」「世界」「罪の手触り」「山河ノスタルジア」「帰れない二人」
ウクライナ情勢が気になる。ロシアの思い通りにしてしまうと帝国主義時代に逆戻りする。かといって、NATOの側が出かたを間違えば第三次世界大戦になる。そして、このままでは間違いなくウクライナの人々の命が失われる。こうしたことを避けるのは至難の業だと思う。私には、だれがどうすればよいのかまったくわからない。ともあれ祈るしかない。...
View Article東京春祭・ブラームスの室内楽 もう少し個性のぶつかり合いを聴きたかった
2022年3月26日、八分咲きの上野公園の桜並木の下を少し歩いてから、東京文化会館 小ホールに向かって、東京春音楽祭、ブラームスの室内楽 IXを聴いた。今年もまた、コロナの影響で桜に下での宴会は禁じられている。かなりの人出だったが、みんなおとなしく桜の並木道を歩くばかりだった。 曲目前半にブラームス(オズグッド編)のセレナード 第1番 ニ長調(九重奏版)、後半に、ブラームスのピアノ四重奏曲...
View Article戸田弥生の室内楽 大人の味わいの音楽!
2022年3月27日、東京文化会館小ホールで、東京春音楽祭、戸田弥生(ヴァイオリン)の室内楽を聴いた。演奏はほかに池田菊衛(第二ヴァイオリン)、磯村和英(ヴィオラ)、横坂源(チェロ)。曲目は前半にショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲 第8番、後半にシューベルトの弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」。...
View Article東京春音楽祭「ローエングリン」 感動の震えが全身を走った
2022年4月2日、東京文化会館で東京春音楽祭、ワーグナー「ローエングリン」全曲(演奏会形式)を聴いた。コロナのために、3年ぶりの東京春音楽祭のワーグナー・シリーズ。指揮はマレク・ヤノフスキ。...
View Articleチャン・イーモウ監督の映画「上海ルージュ」「サンザシの樹の下で」「英雄」「LOVERS」「グレートウォール」「SHADOW 影武者」
先ごろ、ジャ・ジャンクー監督の映画を立て続けにみたが、ついでにチャン・イーモウ監督の映画もみることにした。これまでにも何本か観ていたが、先日、イーモウが担当した北京の冬季オリンピックの開会式と閉会式をみて、東京オリンピックの開会式・閉会式とのレベルの差に啞然! やはり、イーモウ監督は凄いと思った。映画ももっとみたくなったのだった。 「上海ルージュ」 1995年...
View Articleオペラ映像「フランチェスカ・ダ・リミニ」「運命の力」「ロジェ王」
ウクライナ情勢が気になる。だが、テレビ報道をみるのがつらい。あまりに悲惨なウクライナの状況、あまりに残虐なロシア軍、そしてあまりに鉄面皮のロシア政府。かつて中国に進出した日本も、ヨーロッパに侵攻したナチス・ドイツも、スターリンの時代のソ連も、きっと同じように情報操作をし、自分たちの残虐な行動を正当化し、悲惨な状況を他国のせいにしてきたのだろうが、それが現在も行われるとは!...
View Articleエッシェンバッハ&N響のベートーヴェン第7番に感動
2022年4月9日、東京芸術劇場コンサートホールでNHK交響楽団定期演奏会を聴いた。指揮はクリストフ・エッシェンバッハ、曲目は、前半にドヴォルザークの序曲「謝肉祭」と、フルートのスタティス・カラパノスが加わってモーツァルトのフルート協奏曲第1番、後半にベートーヴェンの交響曲第7番。素晴らしい演奏だった。...
View Articleメルベートに歌唱に圧倒された
2022年4月10日、飛行船シアター(旧 上野学園石橋メモリアルホール)で、リカルダ・メルベートのコンサートを聴いた。東京春音楽祭の一環。ピアノ伴奏はフリードリヒ・ズッケル。私はこれまで、ベートーヴェンやワーグナーやシュトラウスの実演や録音、映像でメルベートに接してきた。容姿も魅力的で、私のひいきの歌手の一人だ。楽しみにして出かけた。期待通りの素晴らしい歌唱だった。...
View Articleアイヒェとベルナーによる「マゲローネのロマンス」 音楽は最高!
2022年4月11日、東京文化会館小ホールで、マルクス・アイヒェ(バリトン)によるブラームス作曲、ティークの「マゲローネ」によるロマンスを聴いた。ピアノ伴奏はクリストフ・ベルナー、朗読は奥田瑛二。 めったに演奏されない曲だが、私は、LP時代にフィッシャー=ディスカウとリヒテルの録音を聴いて感動して以来、この連作歌曲が大好きだ。若々しくて率直なブラームスの一面が現れていると思う。...
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